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ADHDの特性がある子どもへの支援方法とは?特徴や、現れやすい問題行動についても解説②

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  • ADHD(注意欠如・多動症)の特徴
  • 不注意性の高さによって生じうる問題と対応
  • 多動性の高さによって生じうる問題と対応 -衝動性の高さによって生じうる問題と対応
  • まとめ

 ADHD(注意欠如・多動症)は、発達障害の1つであり、不注意(注意が逸れやすい)や多動性(落ち着きがない)、衝動性(衝動的に行動に移してしまう)といった特性があります。ADHDの特性がある子どもへの支援について、2回にわたって詳しく解説をします。

目次

ADHD(注意欠如・多動症)の特徴

 不注意、多動性、衝動性の3つがADHDの主な特徴ですが、ADHDのお子さんが全員、これら3つの特徴がみられるとは限りません。不注意の特徴だけが顕著であり、多動性や衝動性の特徴がみられないお子さんもいれば、不注意と多動性、多動性と衝動性のように2つの特徴があるお子さん、3つともみられるお子さんなど、さまざまです。

したがって、ADHDのお子さんに対して接する場合には、不注意、多動性、衝動性のどの特徴が当てはまるのか、あらかじめ確認することが求められます。

不注意性の高さによって生じうる問題と対応

 不注意性(注意の欠如、注意の転動性)は、勉強や作業などの課題に対する集中力が持続しにくく、注意が逸れてしまうという特性です。この特性も、「パソコンで仕事しているとついついネットサーフィンしてしまう」などのように、一般の方にも認められやすい特徴です。

しかし、「大事な話をしているのに、外の音が気になって話が入ってこない」とか、「テスト中で問題がわからないわけではないのに、ゲームのことを考えてしまう」などのように、重要な場面でも、集中することが困難で、注意が逸れてしまうのがADHDの特性と言えるでしょう。

 未就学のお子さんの場合には、もともとの集中力はそれほど高くなく、おおよそ年齢×1~2分程度が集中して取り組める時間の目安になります。もちろん、好きな活動は集中力も高まりますし、苦手な活動やうるさい場所、さまざまな興味を引くものがたくさんある状況などでは集中力も低くなる傾向にあります。小学校に入学すると、1つの授業は45分単位になりますが、45分間ずっと同じことをしているという状況は稀であり、先生の話を聞いたり、問題を解いたり、相談をしたり、発表したりと、さまざまな活動が組み合わされて45分を構成しています。そのため、集中すべきものを切り替えながら、授業が展開されていきます。

 このような活動や授業、勉強に対する注意が逸れやすい場合には、「どの程度であれば注意が持続しやすいか」を見極めて、対応することが望まれます。その際、「時間」に着目して支援を行うか、課題などの「量」に着目して支援を行うか、お子さんの特徴や様子、理解度に応じて選択ができるとより良いでしょう。

  • 時間に着目した支援

 時間に着目した支援を行うの場合には、集中の持続が5分程度なのか10分程度なのか、課題によっても差異が生じることを前提に見極める必要があります。

キッチンタイマーや時計を使うことが有効ですが、時間の変化が気になって、時計をじっと眺めてしまう場合などにはあまりお勧めできません。また、時間の感覚も十分に備わっていない場合が少なくないので、時間を基準とする準備が整っているか、確認することが必要です。小学校入学後や、成人してからも、「いつまでに終らせるように」といった時間を基準にした指示を受けやすいので、徐々に身につけていけると良いでしょう。

  • 量に着目した支援

 時間に対して、量は確認しやすく、分かりやすいので、基準としては用いやすいでしょう。問題3問、漢字5文字など、「確実に取り組める量」を提示し、できたときにはしっかりとほめることが大事です。

集中力を養いたいときには、問題に正解したかどうかではなく、「3問集中して取り組めたね!」ということをフィードバックすることが大事です。集中しているときの様子として、視線がノートに向いているか、鉛筆を持ったままか、椅子に座って両足が床についているかど、具体的な行動として集中している状態を確認することも大切です。

多動性の高さによって生じうる問題と対応

 多動性は、貧乏ゆすりのようにじっとしていられず、いつも身体のどこかが動いていたり、あるいは離席してしまったりするような特徴を指します。あるいは、しゃべりすぎてしまうような多弁も、多動性の特徴の1つと考えられています。

幼稚園や保育園など、ある程度自由な場面が多い状況では、多動性の特性は顕著には認められませんが、小学校入学後は、じっとすることが求められる場面が一気に増えます。そのため、小学校入学後に、多動性の特徴が指摘される場合も少なくありません。

その一方で、毎日の学校生活の中で、徐々に多動性をコントロールし、離席などの顕著な動きではなく、貧乏ゆすりや頭をかくなどのちょっとした動きで多動性を落ち着かせることができるようになることもあります。

 多動性への対応として、まずは椅子や机などの環境を調整してみましょう。椅子の高さが合わず、足をぶらぶらさせてしまう状態だと、動きやすく、多動性もコントロールしにくくなります。保護者が付き添うことができるのであれば、優しく肩や背中に手を置き、立ち歩きしにくくすることも有効です。力を入れて押さえつけることは避けましょう。

 また、多動や多弁などの場合には、「今落ち着きがないよ」「しゃべりすぎだよ」ということを優しく口頭で注意したり、口に指をあてて「しー」と促したりしつつ、子どもが多動や多弁の状態に気づき、行動を自分で制止することができたらほめる、ということも大切です。自分の状態に対する気づきを促し、コントロールができるよう、少しずつ取り組んでいきましょう。

衝動性の高さによって生じうる問題と対応

 衝動性は、見たり聞いたり感じたり考えたりしたら、すぐに行動に移してしまうという特性です。この特性は、「おいしそうなお菓子を見つけて思わず食べちゃった」などのように、ある程度ほとんどの人が持ち合わせていますが、時や場所、状況を選ばずに、すぐに行動に移してしまうことによって、問題となる可能性が出てきます。

たとえば、「友達が話している様子を見て、自分の悪口を言っている!と思いこんで衝動的にたたいてしまう」とか、「授業中、先生の問いかけに対して、指名されていないのに答えを言ってしまう」などの様子が見られるかもしれません。

 一般の方の衝動性の高さは、「我慢しようと思えば我慢できる」「落ち着いて考えて、自分でコントロールすることができる」ことが多いですが、ADHDの特性としての衝動性は、これらのようなコントロールが困難な場合が多いです。それによって、叱られてしまう経験も多くなりがちです。

衝動性の高さをすぐにコントロールできるようになるのは難しいため、少しずつ、「自分でコントロールできた!」という経験を積んでいくことが重要です。

そのためには、まず、衝動的に行動しやすい場面をいくつかピックアップしてみましょう。

たとえば、「弟がおもちゃで遊んでいる様子を見たらたたいて取り上げてしまう」ような場面があるとします。次に、たたいて取り上げてしまう前に、「弟がおもちゃで遊んでいたらどうする?」などの対処方法を、あらかじめお子さんと一緒に考えてみましょう。お子さんが自分で解決策を考えられれば良いですが、難しい場合には、「貸してって言ってみたらどうなるかな?」などとアドバイスをしてみるのも良いでしょう。「あとでね」などと断られた場合の対応まで考えられると、なお良いです。そして最後に、実際に考えた解決策を実行してみて、「できた」「うまくいった」経験を積みましょう。最初のうちは、お子さんと保護者の方が一緒に「貸して」や「遊ぼ」と言ってみることも良いでしょう。

重要なことは、衝動的に行動するのではなく、計画的に行動を実行することができ、良い結果が得られたという経験を積むことです。ここでいう良い結果というのは、おもちゃを貸してもらえたことだけでなく、落ち着いて行動できたことを保護者の方にほめられ、自信を持つことができた、ということが重要です。

まとめ

 ADHDの特性として挙げられる、不注意性、多動性、衝動性に対する対応について紹介しました。ここで紹介した方法の他にも、構造化(構造化について詳しくはこちらで解説しています。https://studiosora.jp/column/1867/)の手続きによって、うまく対処できる可能性が高まる場合もあります。1つの手続きにこだわって対応し続けることよりも、いろいろな方法を試してみて、お子さんにとって効果的な、よりよい方法を探していくような関わり方がお勧めです。

正解となる方法が決まっている、というよりも、お子さんにとっていい変化が見られた方法が、結果的に正解となる方法である、というように考えて、焦らず試行錯誤してみましょう。また、これらの方法はすぐに大きな効果が出るような性質のものではありません。うまく行かない場合でも、自分や誰かを責めるのではなく、また次の機会に繋げていくことが重要です。

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